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体が自由に動かないと思ったら、目の前がカラフルなゴムボールで埋め尽くされていた。
僕は辛うじてボールの中から頭だけが出ていた。首から下がボールに埋まっていたのだ。
不思議に圧迫感はなかった。ゴムボールの感触が柔らかかったからだ。むしろ埋もれている状態が心地よい。
赤・青・黄色……色とりどりのボールが、一面を覆っている。
ふと上を見上げてみた。天井がある。透明なドーム型の丸い天井が見えた。
大きな球体の中に僕はいるのだろうか?中身がゴムボールで埋め尽くされた透明な地球儀を連想した。もしくはカラフルなガムが出てくるガチャガチャのようだ。
これは夢なのだろうか?夢にしては掌に伝わるプニプニとしたボールの触感がリアルだ。口の中には相変わらず甘酸っぱい果実の味が広がっている。
ぼぅとする頭で辺りを見渡していると、突然、ざぁーという音と共に、球体の真ん中に蟻地獄のようなくぼみが出来た。スルスルとボールがその中に落ちて行く。
「呑まれる!」そう思った。当然ながら、僕には逃げ場がない。ぎゅっと目を瞑ると流れに身を任せた。
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