プルプル

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ゴムボールの渦に呑み込まれたはずの僕は、次の瞬間、なぜか海の中にいた。 息苦しくはなかった。それどころか海の中にいるはずなのに、体のどこも濡れていない。 目の前を熱帯魚のような鮮やかな色をした魚の群生が通り過ぎて行った。水族館でも図鑑でも見たことのない魚だった。   もしかして、さっきのゴムボールは魚の卵だったのではないだろうか?そう思う位、その魚たちは鮮やかな色だった。 僕は魚の群生と束の間の遊泳を楽しんだ。ゆらゆらと頭上から差し込む光が眩しくて、思わず目を瞑った。 背中に羽根が生えて、今度は、空を飛んでいた。   回転したり、高度を付けたり、眼下に流れる雲を見下ろし、風を受けて飛ぶのは最高に気持ちが良かった。   これは「プルプル」が見せてくれる夢なのだろうか?こんな不思議な夢は今まで見たことがない。   このままどこまでも飛んで行きそうな気分に浸っていると、突然、体が石の様に固まって動かなくなった。 僕はそのまま、まっ逆さまに下に向かって落ちて行った。   「死ぬ」そう思って目を瞑ったところで、ボフンと大きなクッションのようなものの上に落ちた。
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