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木蓮の季節が終わる
庭先にある二階屋根まで伸びた枝先から
肉厚の花びらがひらひらとはならず
トサトサと春風に攫われて落ちてくる
一斉に咲き、真っ白に咲き誇った白木蓮の期間は短く
茶色に変色し地面に散る
この時期の草花は競い合うように育っていく
公園の桜がいつの間にか三分咲きになり
花壇にはスズランが香り、クローバーは瑞々しさを讃え
絵の具のようなグリーンで太陽に沿って開き繁り出す
ムスカリの花がふさふさとした葉の隙間から顔を出し
アイビーゼラニウムが朱色のアクセントでポーチを飾る
ーーー春
この時期、生まれ故郷の野や山を思い出す
何故か浮かぶのは華やかな花ではなく
道ばたの地味な草花
そこにはキラキラしいものは今ひとつだが
香しき早春の息付きと、移る季節の記憶がある
ふきのとうの白い花
道脇のホトケノザ
可憐なスミレにカラスノエンドウ
ひっそりとすゞやかな風に揺れ春を生きる
子供の頃の記憶の片隅に登場する草花達
あなたはどんな春の花がお好みだろうか
+++ 春の一句 +++
想いでの野原に眠る微笑みは蓮華草の花の冠
白猫野
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