シルバーリング

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検査室から出ると 待合室の椅子に座る父が声を掛けてくる。 「昌子、検査終わるまで持っといてくれ」 渡されたのは、 すり減って柄も消えた2対のシルバーリング。 「もう買い替えたら?」 白衣のポケットにしまいながら聞くと 「その指輪じゃないと喧嘩を納められんのさ」 父は笑いながら答えた。 帰りの車でも繰り広げられる口喧嘩。 二人の指には 古ぼけたシルバーリングが鈍く光っていた。 「結婚かぁ、、、」 バックミラーを確認しながら 煙草に火をつけた、、、。 fin
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