第7章 禁断の欲求

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「両方兼ね備えて生まれてくるんじゃないかって話で、2人とも納得したろ?」 「あの時はね――」 由良は抜けるような青空を仰いで 細く息を吐いた。 「でもね、あれから考えたの。善悪を兼ね備えるのは生まれてからの話であって――それより前は、やっぱり善か悪か、どちらかしかないんじゃないかって」 「みんなどちらか?」 「いや、均一にってわけじゃなくて。その人間が善か悪かは生まれながらにして決まってるんだ」 「人は生まれつき善い人間と悪い人間と、2タイプいるってこと?」 「そう。程度の差こそあれね」 分からなくもない。 でもそんな風に言ってしまうと 身も蓋もない気がして僕は頭を振る。
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