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「両方兼ね備えて生まれてくるんじゃないかって話で、2人とも納得したろ?」
「あの時はね――」
由良は抜けるような青空を仰いで
細く息を吐いた。
「でもね、あれから考えたの。善悪を兼ね備えるのは生まれてからの話であって――それより前は、やっぱり善か悪か、どちらかしかないんじゃないかって」
「みんなどちらか?」
「いや、均一にってわけじゃなくて。その人間が善か悪かは生まれながらにして決まってるんだ」
「人は生まれつき善い人間と悪い人間と、2タイプいるってこと?」
「そう。程度の差こそあれね」
分からなくもない。
でもそんな風に言ってしまうと
身も蓋もない気がして僕は頭を振る。
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