第2章

8/22
前へ
/176ページ
次へ
花屋の2軒隣にはパン屋、いや、ベーカリーがある。 夜が明ける前から、この周辺にはパンが焼ける良い匂いが漂い、ここも大繁盛。 朝と言わず昼と言わず、順番待ちのOL達で通りにまで列が出来るほどなのだ。 花屋といい、パン屋、いや、ベーカリーといい、儲かってんだろな~。 そんな事を思いつつ、珈琲を飲もうと手元に視線を戻した。 すると、 ん? 視界の端っこに何かが引っかかった。 あれ? あんなところに人がいる。 さっきいたっけか? そこは花屋の隣。 で、パン…いや、ベー…、あ~メンドイ!パン屋で何が悪い!…そのパン屋との間。 開店前のモバイルショップの店先だった。 9時のオープンまでまだ40分ぐらいあり、モバイルショップのウィンドウはスクリーンが下ろされたままになっている。 その、そこに、だ。 小学校で使われるようなパイプ足の机をドンと置き、茶色い服を着た爺さんが座っているのだ。 いつからいた? さっきいた? 見落としてた? いやいや、あんなとこに人がいたら見落とす訳ねぇし。
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加