第2章

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しかもその爺さん、『おいでおいで』をしているではないか。 我が心中に疑問符が列を成す。 え? 誰に? 誰?俺? すると、その声が聞こえたかのように爺さんは、俺を指差し『うんうん』と頷いたのだった。 俺はしばし考えた。 あの爺さん、何者だ? マスター、なんか知ってるかな? だが、今朝のマスターはいつにも増して忙しく、ひっきりなしにやって来る客を相手にフル稼働中。 ダメだ。 話しかける隙もない。 そして爺さんは、というと、相変わらず俺に『おいでおいで』をしている訳で。 時計を見ると、そうのんびりもしていられない時間だった。 なので仕方なく立ち上がる。 カウンター前を横切る時、忙しそうなマスターが「ありがとねー」と顔を上げて俺を見た。 俺のモーニング代はチケット制。 月の初めにまとめ買いして預けてある。 なので、「ども~。ごちそうさま~」で済むのだ。
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