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しかもその爺さん、『おいでおいで』をしているではないか。
我が心中に疑問符が列を成す。
え?
誰に?
誰?俺?
すると、その声が聞こえたかのように爺さんは、俺を指差し『うんうん』と頷いたのだった。
俺はしばし考えた。
あの爺さん、何者だ?
マスター、なんか知ってるかな?
だが、今朝のマスターはいつにも増して忙しく、ひっきりなしにやって来る客を相手にフル稼働中。
ダメだ。
話しかける隙もない。
そして爺さんは、というと、相変わらず俺に『おいでおいで』をしている訳で。
時計を見ると、そうのんびりもしていられない時間だった。
なので仕方なく立ち上がる。
カウンター前を横切る時、忙しそうなマスターが「ありがとねー」と顔を上げて俺を見た。
俺のモーニング代はチケット制。
月の初めにまとめ買いして預けてある。
なので、「ども~。ごちそうさま~」で済むのだ。
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