第2章

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「おはようございます」「おはようございます」 今朝もロビーには澄んだ声が響いていた。 受付嬢が2名、出社する社員達を明るい声と笑顔で迎えているのだ。 そのうち、いつも向かって左側にいる徳田愛子さんは今年24歳。 実は、密かに俺の憧れの女性でもある。 ところが俺は、爺さんに言われたから言う訳じゃないけど、ほんと喋るのが苦手で。 特に、女にはからっきしダメ。 緊張するっていうよりも、何を喋ればいいのか解んなくなるっていうか、思ってる事が上手く言葉に出来ない。 変なこと言って笑われたらどうしようとか、嫌われたらどうしようとか、あれこれ考えるうちに言いそびれて、ますます誤解を招いたり。 だからと言ってフォローも出来ず、弁解も出来ず、説明不足のまま、どんどん誤解が積み重なってしまう…。 ――――かなり手痛いフラれ方したねぇ。 図星だった。 あの爺さん、何で解ったんだろ…。 くそっ、忘れてたのに、また思い出したじゃねぇか。
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