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両腕を伸ばしてググ~ッと伸び、ついでに大欠伸を一発。
それから立ちあがり、廊下に出た。
エレベーター脇にある自販機で、『濃厚。黒カフェ』というコーヒーを、ミルク・砂糖抜きで抽出。
『やけどにお気をつけください』という点滅表示のあと、慎重に取り出す。
挽き立て珈琲の良い香りを撒き散らしながら自席へ戻ると、鞄からはみ出た、例の『カタログ』が目についた。
そういや爺さん、一人の時に見ろ、とかなんとか言ってたな。
今は人の出払った昼休み。
残っているのは俺一人…。
ちょっと見てみるか…。
そんなお気楽気分で開いてみた。
が、な~んにも書いてない。
ただの、ちょい小さめのスケッチブックみたいなもん。
なんだ?これ。
なんも書いてねぇじゃん。
やっぱ爺さんにからかわれたか~。
なんだよ、と舌打ちしながら閉じる時、チラッと文字が見えた。
ん?さっき、あったか?
再び開く、2ページ目。
『あなたの理想の恋人は?』
なんだ?
このページなら最初に見たぞ?
白紙だっただろ?
『だ~か~ら~。あなたの理想の恋人は?てば!』
うわっ!
声こそ出ないが体が固まる。
な、な、な、なんだーーーーーっ!
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