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『コホン。失礼致しました。』
ホワイトボードに書いた文字をイレーザーでひと消しするように、スーッと文字が消え、フッと新たな文字が浮かび上がる。
どんな仕組みだ?
どうなってる?
裏表紙を見る。
引っ繰り返す。
いったん閉じる。
で、また開く。
『ちょっと!くるくる回さないでよ!目が回るじゃないの!』
へ?
「す、すいません…」
『いえ。こちらこそ。重ね重ね失礼致しました。』
「別に俺は、いや、僕は…」
なんとなく、背筋を伸ばす。
居住まいを正す、というかなんというか。
『はい。それではあなたの理想の恋人をうかがう前に、簡単な登録をお願い致します。』
文字が勝手に浮かぶ。
有り得ない…。
こんなこと有り得ない…。
そう思いながらも目の前にある現実に、どんどん引き込まれていく。
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