第2章

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『コホン。失礼致しました。』 ホワイトボードに書いた文字をイレーザーでひと消しするように、スーッと文字が消え、フッと新たな文字が浮かび上がる。 どんな仕組みだ? どうなってる? 裏表紙を見る。 引っ繰り返す。 いったん閉じる。 で、また開く。 『ちょっと!くるくる回さないでよ!目が回るじゃないの!』 へ? 「す、すいません…」 『いえ。こちらこそ。重ね重ね失礼致しました。』 「別に俺は、いや、僕は…」 なんとなく、背筋を伸ばす。 居住まいを正す、というかなんというか。 『はい。それではあなたの理想の恋人をうかがう前に、簡単な登録をお願い致します。』 文字が勝手に浮かぶ。 有り得ない…。 こんなこと有り得ない…。 そう思いながらも目の前にある現実に、どんどん引き込まれていく。
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