第2章

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駅ビル中央出口からは徒歩10分。 大通りを真っ直ぐ南へ進み、某巨大銀行本店の角を右に折れた所から、ようやく俺のテリトリー。 真っ先に、馴染みのカフェにて腹ごしらえ。 『これを食わずして我がサラリーマン人生は無いモノと思え。』 決して言い過ぎでは無い、抜群に美味いハムエッグを食わせる店があるのだ。 そこは損保会社ビルの1階部分に構えられたごくごく普通のカフェ。 値段的にも高からず安からず、これまたごくごく普通。 だから、卵やハムが幻の逸品、という訳でもなさそうな。 だけど、最上級の美味さなのだ! ちなみにハムエッグと言うと、ソース派。醤油派。マヨネーズ派。 この3つが代名詞になったりするけれど、俺は違う。 俺は断然、塩! で、ありがたい事にここのマスターは生まれ育ちが沖縄で、故郷から取り寄せた現地の塩を使用している。 こ~れがもう、美味いのなんのって! 塩ひとつでこんなにも違うんだな、と感激せずにいられないのだ。 で、ついでに言っとくと、俺の塩のこだわりは、実の母親、美里(みさと)、56歳…いや?57歳? …どっちだっけ? この前、どっちでもいーんじゃね?一緒じゃん?と言ったら、ほっぺた捻らんばかりの勢いでどやされた。 「解らない時は、少なめに言っときなさい!」 という事なので、たいして変わらんとは思うのだが、56歳…にしておこう。 そう。 この人が塩にこだわる訳だ。 なんでも母方のご先祖さまは『うちなんちゅ(沖縄の人)』だそうで、母親自身、郷土で採れる極上の塩で育ったんだとか。
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