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日下優は嫌味なくらいニコニコした笑顔を浮かべて、
手ぐすね引いて待っていた……
今の俺にはそう見えてしまう。
日下は可愛らしげに小首を傾げ、
「なんでも言って下さいね? 愚痴くらい聞きますよ?」
ついでに後ろで束ねた茶髪を揺らしながら言ってくる。
が、コイツは一見なんも考えてないように見えるが、
なかなかのクセモノ……だと思う。
まぁ、なんとなくだが……。
俺が高岡に好意を持っていたことにも、
どうも気づいていたようだし。
社内の噂を知り尽くしてるようなヤツだから侮れない。
「イヤ、別に愚痴なんてないし……。それに急ぎの仕事があるしな…」
俺はさり気なく身体をデスクに向け、
視線をゆっくりPCへと戻した。
「……そうですかぁ?
じゃぁ、松岡主任。これでも食べて元気出して仕事頑張ってください」
声と一緒にガサゴソという音が聞こえて、
気になり日下の方へ視線を戻せば、
一瞬、
疑うような素振りを見せるも、納得したのか、
甘ったるそうなチョコレート菓子を俺の前に差し出してきた。
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