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もう何をしても無駄だと思って、
大きな声を出そうかと思っていたところへ、
通りがかりの若い男が声を掛けてきた。
「ねぇ、ねぇ、オッチャン達、なに女の子に絡んでんの~?」
そして、
オヤジの近くまでくると、
舞の腕を掴んでるオヤジの腕を捻り上げた。
「イタッ、なんすんだ、このヤロッ!」
腕を捻り上げられたオヤジが、
いきがって若い男を見上げるも、
「あぁ、ごめん、ごめん。そんなに痛かったぁ?」
「……っ…、」
身長差があることに気づいたのか、
怯んで押し黙ってしまった。
それに、
道路側でちょっと薄暗いし、
若い男ばかりに気を取られて気づかなかったんだけど、
近くにもう一人長身の若い男が居て、
私のバッグを掴んでいたオヤジの動きも封じてくれていた。
急な出来事に私も舞も放心してしまっていたら、
その間に、三人組のオヤジは尻尾を巻いて退散したようだった。
ホッとして胸を撫で下ろしていた私達に、
「あれ? スッゴい奇遇じゃん!」
助けてくれた若い男が馴れ馴れしく声を掛けてきた。
あれ?
どこかで聞いたことがあるような気がするんだけど……。
ゆっくり声の方に視線を向けると、
松岡主任と営業の松岡拓哉が、
そこに並んで立っていたからびっくりだ。
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