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ふぅ……かったりぃ……。
なんとか溜まってた雑用を片づけて、
疲れた目頭を軽く指で押さえながら腕時計に視線をやると、
午後9時をとっくに過ぎていた。
「ハァ……」
特に急ぐような仕事も無かったし。
今日はもう帰ってゆっくり寝るか……。
上着のポケットを探ってタバコの箱を出してから、
タバコを切らしてたことを思い出し、
苛立ちをぶつけるように箱を握り潰した俺は、
それを力任せに足元のゴミ箱へと投げ捨てた。
うまくいかないときは、
何をしたってうまくいかないもんで、
ゴミ箱は無惨にも倒れてしまい、
中のゴミが辺りに散乱してしまった。
少しでも……
気を落ち着けようと瞼を閉じれば、
少しだけあどけなさの残る明るい笑顔が浮かんで、
直ぐに消え去ってしまった。
まるで、
幻であったかのように……。
途端に、俺は酷い虚しさに襲われた。
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