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舞のトラウマって言葉であの忌々しい記憶が蘇ってしまって、
途端に怖くて堪らなくなってきた。
もういい加減忘れてしまいたいのに、
もうあれから何年も経ってるっていうのに、
ことあるごとにこうやって私のことを苦しめる。
偽りで固められた優しさと、
その裏に隠されてた惨酷な言葉が……
今も鮮明に蘇ってきてしまう。
まるで呪縛のように私に付き纏う。
一体いつになったらこんな想いから解放されるんだろう?
いつか解放されるって思っているのに、
もしかしたらこのままなのかな?
そう思うと怖くて堪らない。
きっと、
そんな気持ちが表情(カオ)にも表れていただろう私の身体を、
いつの間にか直ぐ傍に来ていた舞が、
優しく包み込むようにして抱きしめてくれていて。
「ごめんね…。嫌なヤツのこと思い出させちゃったんだね?
でもあんな最低な男そうそう居ないから、怖がんなくて大丈夫だからね…」
優しく背中を包むように撫でながら、
優しく何度も言い聞かせるように声を掛けてくれたお陰で
直ぐに落ち着くことができたのだった。
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