*2*

25/25
6954人が本棚に入れています
本棚に追加
/452ページ
舞のトラウマって言葉であの忌々しい記憶が蘇ってしまって、 途端に怖くて堪らなくなってきた。 もういい加減忘れてしまいたいのに、 もうあれから何年も経ってるっていうのに、 ことあるごとにこうやって私のことを苦しめる。 偽りで固められた優しさと、 その裏に隠されてた惨酷な言葉が…… 今も鮮明に蘇ってきてしまう。 まるで呪縛のように私に付き纏う。 一体いつになったらこんな想いから解放されるんだろう? いつか解放されるって思っているのに、 もしかしたらこのままなのかな? そう思うと怖くて堪らない。 きっと、 そんな気持ちが表情(カオ)にも表れていただろう私の身体を、 いつの間にか直ぐ傍に来ていた舞が、 優しく包み込むようにして抱きしめてくれていて。 「ごめんね…。嫌なヤツのこと思い出させちゃったんだね?  でもあんな最低な男そうそう居ないから、怖がんなくて大丈夫だからね…」 優しく背中を包むように撫でながら、 優しく何度も言い聞かせるように声を掛けてくれたお陰で 直ぐに落ち着くことができたのだった。
/452ページ

最初のコメントを投稿しよう!