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*黒木愛side*
私の気のせいかも知れないけど、
急に不機嫌な声で言ってきた主任に戸惑ってしまう。
私、
なんか怒るようなこと言っちゃったのかな?
でも、
ただ相川さんのこと聞かれて、
それに対してただ答えただけなんだけど……。
出張で疲れてんのかな?
なんて思いつつ、
主任の様子をうかがいつつ聞いてみた。
「……え? だって、私が新入社員だって解ったら、相川さんが色々教えてくれて。それに、面白い人だったし……。でも、その相川さんがどうかしたんですか?」
そしたら、
「……あぁ、イヤ、別に……。ただ、ちょっと出張で会った時に、黒木のこと聞かれたから、ちょっとな…」
運転中だし、
真っ直ぐ前を見たままで、
器用に片手でハンドルをさばきながら、
ちゃんと答えてはくれるんだけど、
なにやら歯切れが悪いように感じてしまう。
でも、
ただでさえ密室に主任と二人だけだと思うと、
それだけで、
さっきから緊張してしまうのを誤魔化すのに精一杯で。
これ以上、
主任と話していると心臓がもちそうになくて、
主任に向けてた視線を元の助手席側の窓に固定し、
流れてく夜の街の賑やか過ぎる灯りを眺めることだけに集中させた。
主任が出張から帰って来た途端、
こんな状態で、
この先、大丈夫なんだろうか?
そのことで私の頭の中は一杯だった……。
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