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カチンときた私に、 後先考える余裕なんかある訳もなく……。 主任に一撃をお見舞いするだけじゃなくて、 キッとキツく主任のことを 射抜くように睨みつけてしまってた私は、 呆気なく泣いてることに気づかれてしまったようで。 言い放った直後、 「……黒木、お前、泣いてんのか?」 主任の酷く驚いた声が車内に響き渡ることとなった。 あぁ、もう、最悪だ……。 どうやって誤魔化したらいいのかなんて解んないよ……。 でも、 なんとかして誤魔化すしかなくて…… 「何、訳解んないこと言っちゃってんですか? 泣いてる訳ないじゃないですかー?  ちょっと、目に、ご、ゴミが入っただけですよ……。主任の目、大丈夫ですか?  あぁ、きっと、出張で疲れてるんですよ……。ヤダなぁ、もう、おじさんじゃないですかぁ」 なんとか無理やり明るい声を出して、 もっともらしい言葉を色々並び立てていると、 急に主任の腕がスーッと近づいてきたと思ったら、 「もう、何も言わなくていい……。 お前って、嘘つくのヘタクソなんだな? 安心しろ。なんで泣いてるかなんて聞かねぇから…」 優しく囁きかけてきた主任の腕の中に、 フワリと優しく包み込まれてしまっていた。
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