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*松岡直樹side*
黒木の泣き顔を見てしまった俺は、
酔っ払い黒木が腕の中で怖いと言って泣いてた時のことを、
思いだしてしまってーー。
まるで、
条件反射のように、
泣いてる黒木のことを腕の中に閉じ込めていた。
自分でも、
どうしてなのか解らない……。
けど、
泣いてる黒木を放ってなんか居られなくて。
腕の中の黒木が、
嫌だと言って俺の胸を何度も押し返してきても、
嫌がってんの解ってるクセに、
もっともらしい勝手なこと言って理由つけて、
どうしても離してやることができなくて……。
そしたら、
腕に閉じ込めた黒木が
抜け出すのを諦めたのか、
啜り泣くような小さな声とその振動が身体に伝わってきた。
そんな黒木のことを、
ただなんとかしてやりたくて、
でもどうすることもできなくて……。
ただ無我夢中に、
包み込む腕に力を込めて強く抱きしめていた。
そんな自分に戸惑っていると、
「バッカじゃないのっ? ただの上司に、なんで気ぃ許して甘えなきゃなんないのよ? フザけるな……。離してっ! もー、離してよー!」
俺の腕から抜け出すのを諦めたと思ってた黒木が、
ついさっき俺が言ったことに対して、
必死になって言い返してきた。
まるで、最後の力を振り絞るようにして……。
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