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重たい身体を
なんとか部屋まで引きずって帰った俺は、
なんもかもをシャワーで洗い流してから、
シンと静まり返った静かすぎる部屋のソファで
グッタリと鉛並みに重い身体を深く沈めて、
缶ビールを喉にチビチビと流し込んでいた。
そのビールの味がメチャクチャ苦く感じられて、
黒木に食らってしまった胸の痛みが……
徐々に増してくような錯覚まで起こしてしまっていた。
そんな、
失恋の傷心にドップリ浸ってしまってた俺は、
スッゲー虚しさとなんとも言えねぇ喪失感と、
もうなんなのか解んねぇくらいの
色んな感情が次から次へと湧き上がっては、
それを必死で振り払っていた。
なんて言ってはいるが、
実際には振り払うことなんてできる筈もなく……。
ただただ、
アルコールを摂って誤魔化すことしかできなくて。
そんなことをやってた俺の耳に、
突然の来訪者を告げるインターホンの
なんとも間抜けな音が流れ込んできた。
時計はとっくに10時を回っていて、
こんな時間にやって来るヤツなんてチャラ男しかいない訳で。
シカトしてやろうかとも思ったが、
一人で居るよりは気が紛れるし、マシかと思ってしまった俺は、
重い身体を無理矢理動かして玄関ホールへと向かった。
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