20人が本棚に入れています
本棚に追加
奥方様は後妻なのでございますよ。お嬢様の御母上は出産まもなく亡くなりまして。
旦那様もしばらくはお一人でいらしたのですが、ある年の村祭で、この辺り一番と美貌を謳われていた娘を見初めまして後添いにお迎えになったのでございます。
ええ、それが奥方様で…
傍目には仲睦まじく見えましたが、それは財産を狙って女の武器で旦那様をたぶらかしたと。
お二人の年が離れていることもあり、陰口が止むことはありませんでした。
ましてや十歳程しか年の違わない女性二人が母娘と呼びあうのはなかなかに厳しいものです。
新しい女主人として振る舞おうとする奥方様、旦那様に蝶よ花よと育てられたお嬢様。
当然の如く、お二人の仲がよろしいわけがありません。
後妻、継母という存在はとかく意地悪なものと相場が決まっているかのように、古い使用人たちもお嬢様の側につきました。
最初のコメントを投稿しよう!