胎動

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沈黙。 沈黙。 沈黙――。 (あ、あれ?)  深々と下げていた頭を起こしかけた時、髪が何かに引っ張られた。 (へ? 何だ?)  私の髪が背の高い男性の両掌で、ホールドされていることに気付く。 ガバッと身体ごと起こしてしまった。 (な、何なの!?)  思わず見上げた男性の顔は無表情。 眉間に寄る皺だけが、唯一の表情。  開いた手の甲で自分の顔下半分を押さえながら、後ずさった。何だか、顔が熱くなっている気がして。 (これは、あれかな。都会に多いと聞いた、変質者ってヤツなのでは……) だったら、逃げるしかない!
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