390人が本棚に入れています
本棚に追加
/494ページ
即座に回れ右をして走り出しかけた私の前に、大きな影。
ゴンッ――。
大きなストライドで回り込んでいた男性に、私の顔が正面から衝突した。
(い――っ!)
なけなしの鼻がのめり込む!
「貴和(きわ)学園の生徒?」
「ひぁい?」
痛む鼻の頭を押さえながら、頭上の彼方へ返事らしきものを放つ。
「籤引(くじび)き、好き?」
「……は?」
呆気に取られた。
手を下ろして大木と向き合う。
「……何の関係が?」
「選んで」
男性は両手をグーに握っている。
……右手か左手か、選べってこと?
(いやいやいや、おまわりさーん!)
最初のコメントを投稿しよう!