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ゾクリとした。
彼女が、薄い舌先を口角に伸ばして滲んでいた血を舐めとる。
ぼんやりとそれを眺めながら、紅茶を啜った。
「今日、楽しそうだったね。」
ふと、彼女が呟いた。
今日?
「何がだい?」
「夕方、友達に囲まれてゲーセンで騒いでたじゃん。」
「あぁ。そういえば。」
学校帰りに仲間たちと遊んでいる時、頭の悪そうな中年に腕を絡ませた彼女とすれ違った事を思い出す。
「なんか、昔から一緒に居るのに、あんたのああいう姿がすごく変に見えた。」
「失礼だな。普通だろう。」
「そう、すごく普通の男子高校生ってカンジでさ。」
変なの。
彼女がうっすらと呟きながら、煙草を取り出す。
「うちは禁煙だって何度言わせるんだよ。」
「ケチ。」
「法律を勉強する身としては、未成年の喫煙はおすすめしない。」
「酒飲みの癖に。」
それはそれだ。
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