第1章

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太陽の奴め、俺のことなど放っておいてくれ!  温かみは全部手の届かないところへ打ち捨ててしまったというのに(それともあの虚ろな風が、さらっていったのか?)、 ひりひりと肌を焼く痛みだけは、律儀にも余すところなく残しておいたか、新しく持ってきてくれたものか、 目の前のだだ広い、光に満ちた砂漠みたいに果てがない。 この牢獄にゃ鉄柵の一つもないが、どこまで行ったって出られやしないんだ、世界そのものだからな。 生き死にもそうだ。ただ死ぬことよりも、 生きているのに死んでいること、永遠の覚醒の中で死を生き続けること、これが怖いのさ!  終わりなき受難が俺たちの終着点だって?  やりきれんね。安息はどこにある? 追いすがる冥府の悪鬼どもから俺を救ってくれた聖なる樹、 その鬱蒼と茂る枝葉の陰で、 濃い闇の中で休みたいものだ。
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