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マリアとミホシの反応を見た限り、マルタとメイリンというネイムにとって大事な女性の特徴を二つとも引き継いでいるのが今のサクラの姿なのだろう。
「おい、テメェの女の趣味とか本気でどうでもいいからさっさと王金の女神とやらの干渉をすませてくれねぇか」
本気でどうでもよさそうに周囲の景色やサクラの姿を見てアカツキがそう断じた。
彼にとって世界とはマコトとそれ以外で構成されているという極端な生き方をしているのがよくわかる。
「あんた……今もしかすると歴史的に凄い転換点に立ち会ってるかもしれないって自覚あるの?」
「クッソどうでもいい」
「あのねぇ……」
「……平常運転、処置皆無」
アカツキのあまりの態度にミレイが一言言おうとしたが、無駄であるとミホシが言葉少なく諭す。
「ん、んんっ……まぁ、とにかくさっさと始めよう。
あんまり長いするような場所でもないしな。
とりあえず全員、ネイム以外はイザナギを纏ってくれ、アカツキ、一応お前もだ」
タケルの言葉に従い、その場にいた者たちでネイム以外がイザナギを身にまとう。
赤、青、黄、緑、黒、銀
合計で六色の光がその場に満たされる。
「それで、具体的にあとはどうするの?」
代表する形でマリアがタケルに問う。
「今ここに力は満ちている。
あとはその力を、王金とつながる存在にぶつけるだけだ」
タケルのその言葉に、察したついたヤークト、アカツキ、ショウが視線を動かす。
「王金と」
「つながる存在に」
「……ぶつける」
「…………おい、なんで俺を見る?」
本日二度目の猛烈な嫌な予感に身構えるネイム。
「要するに細いパイプを力業で無理矢理拡張するわけだ。
普通の人間にやったら死ぬが……まぁ、アルギム王族って広い意味合いで普通の人間じゃないからたぶん大丈夫だろ」
「おい待て! こっちの世界での俺って普通に痛覚あるぞ!
あっちと違ってこっちは普通に殴られても痛いんだぞ!
もっと他に何か手はあるだろ!」
「まぁ、あるけどな」
「あるのかよ!! だったら先に言え!!」
「お前、こっちの世界に王金の宝剣呼べるか?」
「え……?」
そう言われ、ネイムは自分の手を見るが、薬を飲む直前まで手に握っていたはずの宝剣はそこにはなかった。
「まぁ、洗礼されてないからお前とのつながりが構築されてない証拠だろ。
あったら宝剣に力を無理矢理流し込めたんだが」
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