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そしてネイムは思い出す。
ミツルギは今でこそ女神の武力面での代行者であるが、元々は女神の伴侶のような立場となる一面もあったことを。
今のネイムのように、宝剣と肉体を融合した存在などその最たる例だ。
「……すまない、今のは失言だった」
だからこそ、今こうして言葉を交わしている女神と、自分の先祖がどのような関係であったのか察することができた。
『いえ、良いのです。
私も、あなたの覚悟を軽んじたようなものです』
そうこう話しているうちに、ネイムの足が完全に透明となる。
たしかに立っている感覚はあるのだが、この空間にいられるのも長くはないということがわかった。
『時間はありません。
貴方に力を……私の正式なミツルギとしての力を与えましょう』
「ああ、ありがとう」
『ただし……』
瞬間、ネイムは王金の宝剣を握っていた右手に焼けるような痛みを覚える。
「なんだ、これは?」
痛みに顔をしかめつつ確認すると、そこには三つの剣を模した紋章が刻み込まれていた。
『それが今の私に出来る最大限の加護です。
紋章を消費すれば、あなたへの負担は抑えて力を使えます。
しかし、それが尽きた状態でアマテラスを使用すれば、あなたの命の保証はできません』
「三回、か。
……わかった肝に銘じておく」
自分に新たな力と、それ相応のリスクが体に収まったことを認識する。
その一方で、この空間における自分の存在が徐々に消えていくことをネイムは感じた。
『あと、そこの……サクラ、と言いましたか?』
「……なに?」
すでに視覚はなくなり、微かな聴覚が残るばかりとなった。
『 が ますよ』
「? に?」
『ええ、 た。あとは 』
二人が何か話しているようだが、そのほとんどが聞き取れない。
「 た。
も る」
『 』
もはやなにも聞こえない。
漠然とした感覚で二人が話してる。
そしてその最後
王金の女神は結局最後まで姿を現さなかったが、どこか満足がにほは笑んだような気がした。
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