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「…………戻ったか」
目を開くと、ネイムは屋敷のベッドに自分がいることを認識する。
「起床?」
声を聴いて横を見ると、そこにはミホシの姿がある。
「どれくらい俺は寝てた?」
「二時間経過」
「そっちはどれくらい先に起きた?」
「約一時間前」
「……喋りやすいようにしていいぞ、今ここには俺しかいないみたいだし」
自分に感受性を高める魔法をかけながら起き上がるネイム
これで訛りの強いミホシの喋り方も普通に聞こえるようになる。
「それで、他の連中は?」
「タケルは、その右手の模様を見て成功だって言って女神に報告に行くって。
ショウとマリアはその報告での付き添い
ミレイとヤークトはそれぞれの主に報告
アカツキは普通に帰った」
「そうか……で、お前は俺の護衛か?」
「うん。
それで、その模様は?」
「王金の力を使っていい回数らしい。
これが無くなった状態で使うと、俺が死ぬか、生き残っても酷い状態になるそうだ」
「そんな……」
折角力を手に入れたというのに、その危険な一面を聞かされてミホシは愕然とした。
「裏を返せばそれだけ強力だってことだ。
無駄うちはできない。
その分お前らにも頑張ってもらうが……頼んだぞ」
「わかった……絶対に、その三回以内で終わらせる」
改めて気を引き締めてそう言ったミホシ
だがその時、どうにも気の抜けた音が室内に響く。
「…………すまん」
音源はネイムの腹だった。
肉体は物理的に不死に近くなっているが、空腹からは逃れられないらしい。
「何か持ってくる」
そう言ってミホシが部屋から出ていこうとドアノブに手をかける。
その直前で動きが止まった。
「ミホシ、どうした?」
急に動きが止まったことに疑問を抱くネイムだが、すぐにその原因に気付く。
「……何の用だ、白夜?」
『……お姉様の力を感じたのよ、それで、あなたが起きるのを待っていた。
まさか、私のミツルギの分際で、お姉様の力も手に入れるとは』
ミホシの身体を使って会話をしている白夜はネイムの右手を複雑そうな顔で見ている。
『お姉様は元気だった?』
「姿は見せてはくれなかったが、普通に会話はできたぞ」
『どうだった?』
「…………あんたや、他の女神と違って俺個人の心配をしてたよ。
この力だって、与えなければ魔獣に勝てないとわかってたのに、危険だと渋った」
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