入学式

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無視、じゃなくて、頑張っても声が出せなかったんだ、とか、もっとポジティブに考えてあげて、少しずつ心を開いてもらえるようにしたら、もっと違うんじゃない?」 我慢しろって。我慢して。我慢して。 「…え、ごめん。何言ってんの?あんた。」 …伝わってない。 ここまで言って、何一つ伝わってない。 ぷつんと、何かが切れる感じがした。 そういえば、私は自分の意思に忠実に生活すると決めたんだ。何も間違ったことはしていない。 じゃあ、最後まで自分の意見を貫き通す…!! 「そもそも、皆がこんなに怒ってるのって、菊池さんが無視したとかそういうのに怒ってるんじゃなくて、無視されたことでプライドが傷ついて、こうでもして菊池さんを悪者にしないと気が済まなかっただけでしょ!?だから私にも話しかけて、菊池さんの友達を減らして、菊池さんに痛い目見せて、仕返しとかしたかったんでしょ!?図星でしょ!?そういうのおかしいよ。心狭すぎる!!」 大きく吐き捨てた。思っていること全て。スッキリした。今まで、溜め込んで生活していた分、今こうして言いたいこと言えて、とても気持ちがいい。 が、こんなことを言ってただで済むわけもなく。 「なんだと!?こいつ!調子乗りやがって!!!!」 相手が手を振り上げる。あぁ、殴られるんだろう。覚悟をして、目をギュッと瞑る。 パンッ 手が肌に当たる音が、校舎裏に響いた。 ―が、何故か顔は痛くない。 ゆっくり目を開けると、私を殴ろうとしてた女子は、手首を抑えて蹲っている。頭を上げると、菊池さんが私の目の前に立っていた。 「きっ菊池が私の手を叩いた!!」 菊池さんが…?叩いた…? 「も、もう、やめて、くだっさい…!」 菊池さんの口から、ポロポロと溢れ出すように言葉が溢れた。 「チッもう帰ろう!」 そう言って、女子達は走って帰っていった。 私は力が抜けて、ばたりと膝から地面に倒れた。 「あ、ありがとう…助けてくれて。」 そう言うと、菊池さんは首をふるふると振った。 「立てますか?」 微かな声で、そう尋ねられた。 「うん、大丈夫だよ。」 私は深呼吸をして、立ち上がった。
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