親友

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□■□■ 次の日、高校2年生3日目となると、いよいよ本格的に授業が始まってきた。 「二人共、一緒に移動教室行こう!」 緑里と橙花は、私の高校生になってから出来た、本当の友達。 まだ出会って3日目だけど、毎日着実に仲良くなれてると思う。 「わかった。」 「ちょっと待ってぇ・・・。」 「そんなに焦らなくてもいいよ?」 「ごめん・・・。」 橙花が急いで授業の準備を始める。 そういえば、ずっと気になっていたことがある。緑里のことだ。 「そういえばさ、緑里って男友達とか作らないの?」 「え?」 「ほらだって、女子とだけつるんでたら、その・・・変な目で見られたりとかさ。」 そう言うと、緑里は小首を傾げた。 「いや、別に・・・。だから俺はそういうの気にしてないから。」 「えっじゃあさ、前のクラスには?いた?」 「そりゃいたけど・・・。そいつもそいつで新しいクラスで楽しんでるみたいだし、あんまり踏み込んで欲しくなさそうだったから。」 あ、もしかして、私と同じだったりするのかな。 「・・・そっか。愚問だったね。」 「ごめん!準備できたよ!」 橙花が教科書類を持って席から立つ。 「よし、じゃあ行こうか!」 ―緑里も、私と同じように友達関係で悩んでいたのかもしれない。 だから、すぐに話しかけられる位置に座っていた橙花が来るのを今か今かと待っていたのかもしれないな。 私が話しかけたとき、どんなふうに思ってくれたんだろう。喜んでくれたのかな。私と同じ気持ちでいてくれたならいいな。 □■□■ 「それでね、昨日のドラマがすっごい面白くて!」 「お前、ちゃんと勉強してるの?」 「してるわ!」 「昨日のドラマなら、私も見てたよっ。」 「本当!?面白かったよね!特に主人公のあのシーンが・・・」 「うんうんっ!あの時間帯のドラマ見てる人いないかと思ってた!仲間がいて嬉しい!」 「俺は勉強してたから見てないなー。」 「あっ、私、ちょっとトイレに・・・。」 「わかったー。」 私と緑里はトイレの近くにあるベンチに座って待つことにした。 緑里とベンチに座るのは、高校2年生初日の日以来だ。 「あ、小紅。髪にゴミついてるぞ。」 「えっ」 振り返ると、緑里の手が私の頭に伸びてくる。 咄嗟に正面を向き直り、ゴミをとってもらう。 「ご、ごめん。ありがとう・・・。」 「いーえ。」
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