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私が綾にその程度にしか思ってもらえてなかったことは、もう気づいてるから。
「友達と思ってもらってなかったなんて、本当は知ってた。でも、確証がなかったから。まだ、どこかで信じていたい自分がいたから、友達だったって言った。」
でも、違った。なら、話は早い。
「友達じゃないなら、もう関係ないよね!話しかけないでよ!!」
「んー、ごめん。私さ、調子乗ってるブス見ると黙っていられないんだよね。あんたは知らなかったかもしれないけど、私今までに何人もムカつくやつのこといじめて、自主退学まで追い詰めてきたんだよね。だ・か・ら、あんたのこともこれからいじめて抹消しないと気がすまないんだよね!!」
そう綾が叫んだ瞬間、3階の窓から水が降ってきた。
「あっ、ごめんなさーい!雑巾絞った水、水飲み場まで捨てに行くの面倒だったからここで捨てようと思ったら、人がいたなんてー!!ごめんねー!!」
そして、ケラケラと笑い声が聞こえた。
「美紀ナイスー!ピンポイントじゃーん。」
「それほどでも!」
私は見上げて、水をかけてきた人を確認する。
あの人は・・・高校2年生初日に、綾と同じクラスだって言って綾のことを呼んでいた人だ。美紀っていうんだ・・・。
やっぱり綾はこういう人だったんだ。一緒にいる友達だって、あんなことする人ばっかりなんだ。
私、人を見る目ないなぁ。
「あーあ、このバケツ教室にしまうのめんどくさいなー。」
そう言って、バケツが降ってきた。
ちょ、ちょっと。何考えてんの!?当たったら大変なことになるよ!!
私はバケツを避けた。カランという音がして、バケツは床に落ちた。
ホッとしたのも束の間、綾がそのバケツをすかさず拾い、私に向かって投げてきた。私はすかさず両腕で頭を隠す。
―が、バケツは飛んでこない。ゆっくりと綾を見ると、綾は倒れていた。そして、綾の後ろには人が立っている。―緑里と橙花だ。
バッと綾が起き上がる。美紀は動揺してあの場から逃げていた。
「ちょっとテメエ!!こいつの彼氏かなんか知らねえけど、こんなことしてただで済むと思ってんのか!!」
「そっちこそ、こんなことしてただで済むと思ってんの?」
「はぁ?」
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