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校長室に向かい、さっきの映像を校長に見せた。
校長はしっかりとその映像を見たあと、びしょ濡れの私と照らし合わせ、「辛かったね。」と言った。
綾と美紀の処分については、後日発表すると言っていた。
校長室をあとにし、時刻を確認すると、19時を過ぎていた。
「遅くなっちゃったね。二人共、付き合わせてごめん。」
「気にすんな。・・・お前だって、こんなにびしょ濡れになって・・・。風邪ひくぞ。」
「私、タオル持ってるから!使って。」
そう言って橙花は鞄からタオルを取り出した。
「・・・本当にありがとう、二人共っ。」
途端に涙が出てきた。二人の優しさに胸が痛んだ。こんな優しい友達に巡り会えるなんて、去年まで思ってもみなかった。
「こ、小紅ちゃん!泣かないで!」
そう言って、橙花はその白くて細い指で私の涙を拭う。
「あ、ありがと・・・っ」
私のことにこんなに必死になってくれた人が、今までに誰かいただろうか。確かに私はブスかもしれないし、センスもないし、何もない。
なのに、二人はどうして私とこんなに仲良くしてくれるんだろう。
「なんで二人は、私と一緒にいてくれるの・・・?」
昔はこんなこと聞けなかった。どうせ、適当な言葉であしらわれるだけって知ってたから。でも、この二人なら、きっと本当の言葉を伝えてくれるって思ったから。
「そんなの、私が小紅ちゃんと仲良くしたいと思ったからに決まってるでしょ。」
「俺も。なんで、とかない。」
「で、でも!こんなブスとかと一緒にいたら、自分の株が下がるとか、思ったりしないの?」
そう言うと、緑里と橙花は目を合わせて、首を傾げた。
「そんなことないよ。そもそも小紅ちゃんはブスじゃないし、とっても可愛いと思うし!それに、一緒にいたら株が下がるなんていったら、こんな髪型してる私の方が・・・。前、クラスメイトの人のこと傷つけて、問題起こしたこともあるし。私と一緒にいる方が、皆から変な目で見られちゃうよ。」
「そ、そんなことない!!橙花は、きちんと私の間違いを指摘してくれる子だった!今日だって、綾に向かって叫んだりして、私のこと守ってくれた。クラスメイトに呼び出された時だって、私のこと助けてくれて、頑張ってたじゃない!ここまで親身に友達のこと守ってくれる子なんて、橙花以外にはいないよ。そんな外見で人を決め付けるような奴は最低だよ!」
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