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今日は、魔族最大のお楽しみゲームの日。
その名も「精霊狩り」。
いつも、人の身である魔術師に力を貸し、数多くの魔族を消滅させている精霊を追い回す大会。つまり、簡単に言えば、精霊いじめの日なのだ。
主催者は上級魔族。参加者は下級魔族。
この日のために、上級魔族は精霊を捕えてきて闇の中に閉じ込めておき、この日のために備えておく。
「精霊狩り」当日、捕えていた精霊を一斉に闇から解放し、それを下級魔族は狩り、上級魔族は高みの見物という日なのだ。
狩られた精霊は下級魔族の力となるために取り込まれる。運よく逃げおおせた精霊は自分の世界に帰れる。精霊たちにとっては、命がけのゲームである。
上級魔族バルバトスの号令を合図に、一斉に千近い妖精たちは闇から放たれ、それを追って、下級魔族たちは奇声を上げながら飛び立つ。
力弱い精霊は次々に魔族の餌食になる。
百、二百・・・次々と狩られる精霊のなかで、光の塊となった
妖精たちは、追いすがる魔族の目をことごとく光で潰し外の世界へ逃げようとしていた。
それを見た上級魔族の一人アガレスは
「こしゃくな・・・」
上級魔族は手出しをしないルールなのにもかかわらず、光の塊となった精霊たちを引きとめようと手を延ばした。
バチッ!!
延ばしかけたアガレスの手に雷(いかずち)が落ちる。
アガレスが上を見ると、頭上に大魔族バアルの姿が。
「ルール違反はいかんなぁ・・・アガレス」
不敵な笑みを見せたバアルを苦々しげに見たアガレスは
「失礼しました」
そういうと闇の中に消えていった。
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