俺の彼女は問題あり

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俺は何の言葉も返せず、席を立った。  気まずい雰囲気のまま俺たちは店の外に出た。これ以上、彼女といたら俺は何を言い出すかわからない。早く、彼女から離れなきゃ。 『結弦。最後にわがまま聞いてくれるかな…』  彼女はうつむいた顔をあげて俺をみつめた。俺は、視線を外すことが出来無かった。 『サヨナラのキスして。』  俺の心臓は高鳴った。今、彼女に触れて、俺は離れることが出来るのだろうか。そんなの無理に決まっている。でも、彼女のために、離れなきゃ。そうするためには、俺も彼女との区切りをつけなきゃいけない。  俺は絵美を抱きしめた。強く…思いっきり強く抱きしめた。絵美も俺の背中に手を回し強く俺を抱きしめてくれた。離したくなんか無い。離したくはないけど…。  俺は絵美を抱きしめていた腕を離し、これっきりだぞと自分に言い聞かせ、そっと、キスをした。絵美の唇はいつもと同じで柔らかくいい匂いがする。 『ごめんな、絵美。』  それしか彼女に言える言葉が見つからなかった。 『ありがとう、結弦。』  彼女の笑顔は、俺の心を痛くする。 『気を付けて帰るんだぞ。』  俺は極力冷静な態度で絵美の背中を軽く押した。  絵美は何度も何度も振り向きながら、離れていった。  絵美が見えなくなっても、俺は彼女が歩いていった方角を見つめていた。  俺、マジで絵美が好きだったんだと胸の痛みが教えてくれた。 『幸せになれよ』  姿が見えなくなった絵美に、俺は話しかけていた。  後日、所長に報告書を提出した。所長は、無言で書類に目を通した後、 『お疲れ様』  俺の肩をポンと叩いて受け取ってくれた。
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