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「よう。」
扉が開くとともに入ってきた男は、やたら気だるげでだらしない格好をしていた。
白のロンTにいまにもずり落ちそうなグレーのスウェット。黒くて暖かそうなロングカーディガンも辛うじてひっかかかってるようなかんじで。
「気分はどうだ?」
見上げるほど高い背丈に、服の上からでも分かるがっしりした体つき。長めの髪の毛は真っ黒で寝起きなのかボサボサ。よく見れば無精髭すら生えているような…。
しかしそんな風貌でも決して不潔に感じないのは綺麗に整った顔のせいだと瞬間的に思った。ハッとするほど爽やかで男らしい顔面である。
ベッドに近づきながら黒い瞳が私を観察するように見る。
「…気分は…特に…」
「そうか。」
私の返事を聞くと視線を窓の外へ流してスウェットのポケットに手を突っ込んだまま、ベッドの端に腰かけたその男。
よく見ると、ポケットの横についているタグのロゴが自分が今着ているスウェットのものと同じだった。
「あの…」
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