第一章 僕の日常(四月編)

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「ただいまー」 「……」 「今日も無視ですかー。まーいーんですけどねー」 彼が僕と同室の男、桝谷悠介だ。 彼は趣味が変で、彼の部屋にはおかしな漫画が沢山置いてある。 入ったことはないが、一度彼のその変な漫画が共同スペースに置かれていたことがあって、それを僕が読んでしまったときに説明された。 彼は僕が大嫌いらしく、常に僕が嫌がるだろうことを考えていたら、気がつかないうちに変な界隈にはまりこんでいたらしい。 全くもってどうでもいい。 ─── 反抗期を拗らせた彼と無関心な僕との組み合わせだが、一応生活当番は決めてある。 料理と掃除洗濯。わかりやすいだろ。 今日は僕が料理当番なので、掃除洗濯は彼がやってくれる。 僕はさっさと野菜炒めを作って彼を呼び出して食べた。 僕は野菜炒めしか作ることができない。 その点彼は料理上手だから、そこだけは良いと思っている。 ─── 僕の部屋は何もない。 必要がないから、机とベッドとクローゼットしかない。 僕は眠ろうとしている。 ドアの向こうから何かが聞こえる。
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