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味のない毎日。あっという間に過ぎていく夏。
去年までは、ずっとそんな毎日が続いていた。
でも、今年の夏休みは違う!高校生になって初めての夏休みだ。
一ヶ月間、絶対に楽しんでやる!!
―そう心に決めて、高校生活最初の夏休みを迎えたわけだが。
「なにもすることねぇー・・・。」
俺、長谷川誠は、例年どおりの夏休みを迎えていた。
リビングのソファーでゴロゴロ寝転がって、ボーっとするのが習慣になりつつある。
こんな時、可愛い彼女とかがいたら毎日が楽しかっただろうに、生憎そんな彼女なんて存在しない。まぁ、今はな、今は。
こうして暇していると、必ずやってくる女がいる。
「誠!起きなさい!!いっつもそうやって寝てダラダラして!!」
そう叫んで、俺の顔をパンパンと叩いてくる女がいる。
「痛え、痛えからやめろ!!不法侵入で訴えるぞ!!」
目を開けると、案の定そこに立っていた女は、俺の幼馴染の金宮茜だった。こいつは小学校の時に知り合い、席が近かったこともありすぐに仲良くなった。そして、謎の腐れ縁によって、今日までずっと一緒に過ごしてきた。
「なによ、全開に開いてある玄関のドアは、入ってくださいって言ってるものじゃないの?」
「はっ!?そんなわけないだろ。毎日ちゃんと戸締りして・・・」
ん、待てよ?俺の家のドアを全開にしておけるやつがもう一人・・・。
すると、誰かがフーっと俺の耳に息を吹きかけてきた。ゾゾっと鳥肌が立つ。こいつはズバリ・・・。
「陸玖!!お前なぁ、いい加減やめろよそれ!!!」
バッと振り返ると、やっぱり立っていたのは俺のもう一人の幼馴染の玖村陸玖だ。こいつは俺の家の隣に住む男で、俺とは物心着く前から一緒に過ごしてきた、いわば兄弟のようなものだ。
「あれ、バレてた?さすがだね~誠。」
ニコニコとして俺のことを見る。馬鹿にしてるだろこいつ・・・!!
そして俺は、ガバっと起き上がり、二人の前に立つ。
「いいか!ここは俺の家だ!勝手に上がり込んでんじゃねえ!!あと陸玖は、俺の母さんからもらったのか知らないけどうちの合鍵を今すぐ渡せ!!!」
陸玖に向かって手の平をびしっと出す。
すると陸玖は不思議そうな顔をして、
「え、何言ってるの?これはもう俺のものなんだから、いくら誠でも渡せないよ。人のものを渡せっていうのは・・・どうかと思うけど・・・。」
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