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「ねえレナ……」
マナの姿は見えないけれど、頭の中に声が響く。
「ずっと私達一緒だったけど……
私の体が無くなってから、二人で一緒にいたけれど……
レナってば、すぐ逃げちゃって、怖い事、嫌な事は全部私まかせで……」
そうだ、本当のマナはとっくに死んでしまってた。
でも、いつもそばにいてくれたから、マナが幽霊だって忘れてた。
あの時も、逃げ出した私の代わりにマナが私の体を守ってくれて……
逃げだした、私の代わりに……
「噂、知らない?
ランドセルを背負った女の子の幽霊が『ない、ない……』って呟きながら何かを探してるんだって……」
「……そ、それ……」
「レナ……
レナだよね、その霊」
体から、抜け出てしまってた……
私が霊……?
「ねえ、戻れなかったら、どうなると思う?
身体、欲しかったの。
私だけの身体
レナはずっと逃げてれば」
いつのまにか、そこに私の体があって、マナの顔で笑っていた。
でもその全身に黒い染みが広がって、大きな顔のように見えるそれが、不気味に嗤っていた……
―おわり―
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