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古参兵がブツブツ言いながら小屋の表の方へ歩いて行ったのを見届けた後、
若者は目的の事を言うために意を決し声を掛けた。
「あの、お願いがあります」
「ごめんなさい、あたし今日は相手出来ないの」
「そうではなく、自分を抱きしめて頂けませんか」
「え、どういう事」
「自分山奥で暮らす爺様に育てられたので、
母親や女性に抱いて貰えた記憶がありません、
ご迷惑と思いますが抱きしめて頭を撫でて頂けませんか」
女性は暫く考え込んでいたが、洗濯小屋の方に彼を招くと椅子に座り手を広げた、
彼が女性の前に膝を付くと女性は彼の頭を胸に抱き頭に頬刷りしてくれた。
帰り際女性に持っていた金を渡そうとすると断られたが、無理に渡しその場を後にしようとするのに対し、
女性は笑顔を見せながら若者に、
「はい、お姉さんからおこずかい、酒保で何か甘い物でも食べなさい」
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