夜襲

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夜遅く敵兵が寝静まった頃、兵士達は足音を忍ばせ敵陣に向かった、 先頭部隊が敵前線を突破した頃突然、 照明弾が打ち上げられ警告の声が上がると共に機関銃の発射音が響き始めると、 兵士達は口々に「万歳」の声を上げ敵陣に向け走り始めた。 若い兵士も同じように腹の底から「万歳」の声を振り絞り駆け出した時、 突然胸と腹に衝撃をくらい焼け付くような痛みを感じ、 周りを見渡すと自分の方を向いた敵兵が塹壕の中で銃の弾倉を入れ替えようとしていた。 彼は痛みに耐えながら敵兵に向けて銃を構えて走り出すと、 敵兵は悲鳴を上げ銃を放り出し、背を向けて塹壕から出て逃げようとするのに、 その背中に向けて全体重を乗せて銃剣を突き刺し、引き抜く為に銃を発射し引き抜こうとしたが彼の力はそこまでであった、 彼は敵兵の背中にもたれ掛かるように倒れると、息を引き取る前に小さな声で一言つぶやいた。 「おかあさん」
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