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興奮気味に話すダレクに思わず困惑する。魔法を使えることがすごいと思っているような口ぶりだった。両親が魔法使いだからか、魔法があることが日常になっているのかもしれない。魔法使いは普通の生活なんて送れない。そう思っていたのに。普通に結婚もできるのかと何故だかすごい安堵した。
「こんな力・・・俺はいらなかった。」
「私はそうは思わないわ。」
ジェスの言葉を否定したのは少女だった。
「私はレナ・ノーム。旅商人の娘です。シルヴァラントは物騒なところでしょう?この力が無かったら、魔物に襲われた父の怪我を治すことはできなかったわ。」
「レナは回復呪文が使えるのか。二人ともすごいなぁ。」
「ダレクは何が使えるの?」
「僕は青の呪文。物を浮かせたりとか、飛んできたものをはじき返したりできるかも?」
「何で疑問系なんだよ。」
「だって呪文の言葉を使ってるわけじゃなくて、ただマナを操ってるだけの力だから。見てて。」
ダレクがジェスの持っている本に手をかざす。言葉を発していないのにも関わらず青白く光った本が重力に逆らって空中へと浮かび上がる。
「すごいダレク。」
レナの言葉にジェスは苛立ちを隠せなかった。最初に会ったときから可愛いと思っていたから尚更だ。
「ふん、俺だって勉強すればこれくらい。」
「できないよ。」
「なんだと。」
「ジェスは赤の魔法使いだから、青の魔法は覚えられない。」
「・・・どういうこと?」
「さっき”色分の儀”をやったと思うんだけど、あれは自分に適したマナの色を見分けているんだ。レナは黄色、ジェスは赤色に覆水盤が変わったからその色のマナしか操れない。簡単に言うなら適正が無いってこと。」
二人が頭の上に疑問符を浮かべるのを見て、ダレクがさらに説明する。
「この世には赤と青と黄色のマナがあり、それを食べる精霊がいる。魔法と呼ばれている力は、この精霊達の力のことなんだ。僕らはマナをアルヴァースから精霊のいるゲノムに提供することで、魔法の力を精霊達から借りることができる。何で他のマナが使えないかなんだけど。精霊は、気に入った子供にある印をほどこす。印というのは、マナを操る力のことだ。僕らというよりは、精霊がその色のマナしか食べないから、僕らもそのマナを操る力しか持ってないってことだね。」
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