第1章 夢

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〇戦士の休日〇 「……ッ」 「…プーコリ、…プーコリ…、…ルアーキン…ッ」 「…!!」 サルメンダーはBL星語で叫びながらガバッと飛び起き、 「…あっ」 ドタン! 勢い余って寝台から転げ落ちた。 (…痛たた) ロサンゼルス上空。 サルメンダーは宇宙船BL号で昼寝中だったのだ。 (また、いつもの夢だ…) 夏の宇宙怪獣退治後から同じような夢を何度も見ていた。 その夢の中には絶世の美少年が現れて、 サルメンダーと絶世の美少年は恋人同士なのだ。 抱き合っていると、その美少年はふいに腕の中で別の生き物に姿を変えて、 サルメンダーが呼び止めるのも聞かずに逃げていってしまう。 今日は美少年は鳥に姿を変えて空へ飛び去ってしまった。 (…はぁ~、もっと、ずっと一緒にいたいのに…) 夢から醒めてもサルメンダーはうっとりと甘美な余韻に浸った。 まるで、夢の中の架空の美少年に恋をしているような気分だ。 (宇宙戦士とはいえ、19歳で初恋すら経験がないし) (だから、こんな妄想的な夢を見るのだろうか?) そう自己分析をして、ちょっと情けなくなる。 今日もせっかくの休日だというのに、こうして昼寝をしていただけなのだ。 (だが、休日に恋人とデートをする宇宙戦士などいるのか?) (聞いたこともないぞ) サルメンダーは首をブンブンと振って、 (これでいいのだっ) (宇宙戦士には恋など無用だっ) 握り拳を構えて力強く心の中で叫んだ。
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