~Prologue~

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 彼との出逢いは突然で、別れは桜が散るように早く、儚いものだった。  久々に小学生の頃の夢を見たからか、それとも夢が妙にリアリティだったからかわからないが目覚めたとき、何か予感のようなものを感じた。そういうときはきまって絶対に何か起こるので、小学生の時にとある男の子からプレゼントされたビーズリングを指にはめる。そうでなくても、大切な時は絶対にビーズリングを指にはめて登校する。  このリングは今ではお守り代わりとして活躍しており、たまにリングをシルバーのチェーンでつないでネックレス代わりにしたり。身に付けない時は、糸が切れぬよう大切にジュエリーボック内で保管している。  彼との出逢いはどうであれ、初めて異性からプレゼントされたので嬉しかったし、高校生になってから想うと、あの時彼に恋をしていたから助けたのかもしれない。  ――――あの彼は今、どうしているのだろうか。  彼の夢を見る度にわたしは、彼が今、どうしているのか気になってしまう。小学生の時に彼が引っ越して以来、一度も再会していない。再会できたとしてもきっと、変わってしまっているので気付かない確率の方が高い。それでもなお、わたしはいつか彼と再会できるだろうと想いながら例のリングを銀のチェーンでつなぎ、ネックレスとして身に付けた。
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