【 01 転入生とわたし 】

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「全員席に着けー!」  今日も変わらず同じ時間に、担任が教室へと現れる。 「今日は話の前に、転入生を紹介する」  教室内は一気にざわざわと騒がしくなり、特に女子の黄色い声が目立つ。  担任は室内を静かにさせてから、転入生を教室内へと入るように指示をした。 「転入生の苑宮泪(そのみやるい)君だ。──苑宮、挨拶を」 「皆さん初めまして。苑宮泪と申します。両親の仕事の都合で今まで海外にいましたが、7歳まで巳吉市に住んでいたことがあります──」  女子は予想通り彼の容姿に釘付けになり、黄色い声を発していたが、わたしは容姿よりも声が気になった。  女性よりかは低いが、男性なのに高音な、澄んだ声にわたしは魅了される。 「苑宮は窓際の端の席に座ってくれ」  魅了されている間に挨拶は終了しており、彼がゆっくりと歩き出した。わたしも窓際の席なので、彼がゆっくりと窓際まで歩いてくる。  改めて彼を間近で見ると、睫毛は長く肌も透き通る様に白く、きめ細かい肌に、わたしは敗北した。 「───たね」  通り過ぎる時に目があって何かを呟かれた気がしたが、小声だったので上手く聞き取れなかった。というより、わたしへ話し掛けたのか不明なので、謎で終わる。  担任が教室から去るとすぐに、1限目の授業が開始される。開始数分で、後ろから女子の黄色い声が聞こえた。きっとそれは教科書を見せて もらおうと彼が話し掛けたからだろう、と安易に想像がつき、意識を授業へと集中させる。
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