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ひらりはらり。
はらりひらり。
巡る季節の中で咲き散る花は、どんな意味を持つのだろうか。乗せた言ノ葉は、意味がない。見た者や感じた者の中にだけ芽生えていく。
花を愛で、飲み交わす人々がざわめきながら、頬を緩めた。美しい、と感じる心が淡い花の散り際を見上げている。
愛しい、愛しい。
美しく、儚い花の最期。
花に魅せられた少女が伸ばした手の先で、花びらはその身をふるりと震わせた。
掌から逃げた花びらは、風に乗って舞い上がる。そして、はらはらと黒髪に降り落ちていく。風と踊る薄桃の吹雪に視界が揺らいだ。
祖父母が愛した桜は、写真で見たように立派で、話に聞いたように美しい。
笑顔で見上げた先にある景色を優しく眺め、少女は開き始めたばかりの花の蕾に目を止める。
くう、と小さく鳴いたお腹に「桜餅が食べたい」と呟いて、儚い踊りを見終わると彼女は両親のいる場所へ駆け出した。
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