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「ミズキ、二度は言わねぇ…黙って金を出せ。」
こなゆきが向かったのは、ハナミズキの花粉と共に生きる幼馴染の家。
「ん…こなちゃんやないけ。
うち、持病の蓄膿症で耳の聞こえが悪いけぇもっぺん言ってや。」
その呼び掛けに牛乳瓶のような厚い眼鏡をかけた素朴な外見の少女。
着ているものは、繕った後が幾重にもあって彼女が裕福でないのを物語っている。
「ちっ…もう一度だけ言うぞ。」
こなゆきは口元に手を当てて、ゴホンと咳払いをする。
「ミズキ、二度は言わねぇ…黙って金を出せ。」
こなゆきは、自分で最高と自負できる悪い笑みで言い寄る。
「こなちゃん、二度いっとるで?」
「てめぇが言わせんだろ、この鼻水ミズキ。」
ミズキを怒鳴り付け、こなゆきは無断で家の中を勝手に物色して回る。
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