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「怒ってる?怒ってるよね?」
俺に対して隆が頻りに言ってくる朝の風景。
本来はこの構図が逆である。
俺が無理やり隆の嫌がる体位で何度もイカせようとするのが夜の風景。
「ごめんって。回数減らすから、な?
怒んなって、な?」
しばらくして、隆の少し機嫌が直ったら、
長い甘いキスをして思考回路を麻痺させるのが昼の風景。
しかし、今回は様子が違う。
昨日酒の入った体がいとも簡単に達したのは、
隆の舌の感触が良かったのと、口の中がどろどろだったのと、
あの男の台詞の一部がシンクロしたからだ。
“その本気、少しだけ舐めさせてよ。”
何だあの台詞。
そもそも舐めるってなんだよ。何を舐めるんだよ。
本気の味なんて、あんたみたいな遊び人にわかんのか。
舐めてたのは隆で、あいつじゃなんだよ。
なんで俺の中に入ってくるんだよ。
一回会っただけの男に、この俺が惑わされるわけがない。
「怒ってません。これは二日酔いです。ご迷惑おかけしました。」
「いやいやいや、りょうちゃん怒ってる。しかも、結構怒ってる。」
今日は妙につっかかるんだな。昨日の主導権まだ行使するつもりかよ。
「何でわかんだよ。」
「りょうちゃん、敬語になるもん。
怒った時と、何か心配事がある時と、それから…」
「それから?なあに?た、か、し、く、ん?」
隆の頬を少し抓りながら、そこにある唇を触れようと近づく。
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