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「浮気してるとき。」
隆の声が俺の耳に低く響いた。
「浮気って…」
顔が強張る。鼻がぴくぴくする。
口が渇く。手が固まる。
断言しよう。
私、斉藤了は、隆と付き合って約2年近くになりますが、
決して浮気をしたことはありません。
敬語なんですけど、これは本当なんです。
沈黙が、重い沈黙が続く。
こんなにも怖いものだとは知らなかったな。
しかし、その空気を変えてくれたのは、他でもない隆自身だった。
「なあんてね。冗談だよ。鎌かけてみちゃった。」
そう言ってにこっと笑った隆に、何か違和感を感じてしまったのは何でだろう。
「りょうさんが浮気しないのは、俺が一番知ってるから。
あと、お酒入っている時はしないし、あんなにしつこくもしないよ。
それに、俺が、りょうさんにいろいろされたいってこと、知ってるでしょ?」
もうそろそろ大学に行かなきゃいけないんだけど、
なんでそんなに誘うような、
なんで今にも欲しそうな顔するんだよ。
「それから、俺が、お前を見る度にどうやってイカせるかって考えてることも、知ってるんだろ?」
「そんなこと、思ってたの?知らない、そんなの知らないよ。」
そう言って照れる隆の顔が赤くて、
今にも触れたかった衝動に駆られたが、
遅刻寸前の現実に戻る準備をした、そんな朝の風景だった。
to be continued...
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