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「『この度、時間外の無断外出の目撃他数件を生徒会あてに何通か届けがありました。 無論証拠もなく決定打には出来ないが過去複数の問題から、生徒会庶務、 犬威 御光が1ヶ月間監視につくことが決定された。なお拒否権はなく、拒否した場合は届け出の件が正式に確定する形となり半年の停学になります。 』…ふぃ、いえた…。」 舌っ足らずながらも頑張りを見せ(俺の補正付き)、カンペを丸読み、こちらへぶいっとピースを向ける。 てか、 「は?」 唐突過ぎていろいろ訳が分からなくなってきたよパトラッシュ。 つか俺無断外出してねえから濡れ衣着せられてるしそんなことも言ってられねえって事これ? うわー…。 「いっか…つ、よろし…く、ね…?」 こてん、と首を傾げるわんこ先輩は、なんでいうか本当に犬だった。 「…ッチ、勝手にしろよ、あとそこのカイチョーさん、そろそろウザイんで帰ってもらっていいっすか。」 「ばいばい、わにちゃ」 「くそぉ朝っぱらから突然呼び出されたと思えばこの仕打ち!!!!!!なんなんだよもおおおおお!!!!!」 雄叫びをあげながら、エレベーターホールへとかけていった会長さんであった…。 「ところであんた。」 「、ん?」 未だに手を振り続けていたわんこ先輩に顔を向ける。 それに合わせ彼も丸まった背中をそのままにこちらへ顔を向けた。 なんていうか、この抜けたオーラといい、どこかほっとけない雰囲気があるこの先輩に、らしくもないことを口走ってしまう。 「一応部屋には最低限のもんあるけど、他に取りに行くもんはあるか?少しぐらいなら手伝う…ぜ……、」 ポカーン。 こんなこと言われるとは思ってもなかったんだろう。むしろさっさと出てけと言われそうなことぐらい覚悟してたのか。 いや確かにあの会長サマが1ヶ月一緒とか言われたら多分言ってるわ。 「とりいく、てつだい、いいの…?」 もそもそと、また喋り出す。 少し申し訳なさそうにしているところを見ると、生徒会も悪い奴らばっかじゃねえんだなと思う。 なので 「朝食、食ってからな。あんたも食ってねえんだろ?」 「…!」 突然に顔が輝き、高速で頷く。 その行動に、少し吹き出してしまった。
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