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なんていうか、バキューム。
簡単に作れるからと、サンドイッチを作ったらあっという間に無くなっていた。
何もない皿の上をさみしそうに見つめる大型犬に少し笑ってしまう。
「ちょっと待っててくれ」
残っていた1合分のご飯と卵があったので、ぱぱっとオムライスを作ってやる。
お待たせと持っていけば、爛々と目を輝かせるわんこ先輩は、本当に餌を前に待てをされている大型犬にしか見えなくなってきた。
「ほれよ、」
ククッと笑いながら目の前に出してやればいただきますと両手を合わせ、勢い良くがっつき始める。
実家の太郎を思い出すわー…。
「つか、あんまかき込むと詰まらせるぞ」
「っ!!」
「言わんこっちゃない」
用意していたお茶を出して背中をさすってやる。
なんとか飲み込みけほけほと噎せると、またがっつき始めた、こいつは学習しないのか。
「ごち、」
ふうっと一息置くと、コメ粒ひとつない皿を流しへと運ぶわんこ先輩の後を追い、自分も流しへ立つ。
「そこ置いといてください俺やるんで。あと」
片付けようとスポンジを握っていたわんこ先輩の頬に着いたコメ粒に、軽く苦笑いをしつつ
握っていたスポンジを奪うと、反対の手でコメ粒を取ってやり流しへ捨てる。
「あ、」
「まだまだガキっすね」
にひひと笑いながら、数枚の皿をテキパキと片付ける。
それを後ろから眺めていただけのわんこ先輩には冷蔵庫にあったキスチョコを与えておいた。
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