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伸びてきた手にびくっと肩が震えた。
だがその手は、俺の前髪をよけるとすぐに引っ込まれる。
「あ、あの先輩なんすか……?」
かかっていた前髪がなくなり視界がクリアになると、何故かわんこ先輩は微笑む、
「いこ、」
「えっ、ちょっ」
人の顔を散々眺めたあと俺の手を取って部屋を出るわんこ先輩。
なんつうか本当に自由な人だなこの人。
部屋着のままだが、どうせ誰も居ないからいいか…
あいにくスマフォと長財布は置いてきてしまったが小銭入れと生徒証はポケットに入れてある。
「あ、」
「ちょっ!!」
慣性の法則って知っているか。
引っ張られている人は
急 に は 止 ま れ な い の だ よ
「いってぇ………。」
俺の腕を引っ張って走っていたわんこ先輩が何故か突如急停止したので、俺はその背中に飛び込む形となり
鼻が潰れるかと思った。
俺の鼻ある?ある???
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